中澤奈緒美様 リヨン留学

フランス語を学び始めてから、「いつかフランスへ短期留学ができたらいいな」という漠然とした夢があり、55歳までに実現させようと思っていました。今回、家族や周りの人の応援や支えによって、52歳の年についにその夢を実行することができました。

研修地は、リヨンを選びました。5月~6月にかけて4週間の滞在でしたが、季節も大変よく、美しい歴史的地区や、大きな二つの川が流れる、緑の多いこの街が私は大好きになりました。治安についても気を付けていれば特に怖い思いをすることはありませんでした。

リヨンの周りにも魅力的な街がたくさんあり、学校の友人と蚤の市や、小さな美しい村ペルージュへ行ったり、週末には、一人で高速バスに乗って、湖の美しい街アヌシーへ日帰り旅行にも行きました。

研修校は、リヨンブルーという学校を選びました。街の中心に近く、大変便利な場所にありました。登校初日に、クラス分けのための口頭テストがありました。実をいうと英語は苦手なので、クラスメートとフランス語でのコミュニケーションが可能なクラスを希望していました。無事、希望通りのB1クラスになりました。

クラスメートの国籍、フランス語を学ぶ理由は様々でした。年齢層も18才~60代くらいまで幅広かったです。授業内容は文法、語彙、会話、バランスよく組まれていて、先生たちも熱心でとてもよい学校でした。授業内では、グループディスカッションや発言の機会も多く、大変勉強になりました。

また放課後は、毎日各種アクティビティが企画されていました。私も、ガイドによる街案内に2度参加しましたが、とても楽しかったです。
 これから留学を検討されている方には、日本で文法や単語など基礎を少しでも勉強してから行くことをお勧めします。

私自身も、事前にもう少し文法の基礎をおさらいしてから行けば良かったと反省しています。現地では、発音が悪くて通じないことも何度かありました。逆に旅行会話であれば、特に困ることはなく、今まで勉強したことが役立ち、きちんと通じているという実感も得られました。ただ、授業の中で意見を述べる場面では、言いたいことをうまく伝えられず、自分の語彙力や文法の基礎が足りてないことを感じました。
 滞在については、短期留学の経験のある友人からホームステイをお勧めされました。初めてのホームステイで、とても不安でしたが、ステイ先のマダムは私が楽しめるようにといつも気にかけてくれて、週末にはショッピングに行ったり、映画にも連れて行ってもらいました。映画は字幕もなく、フランス語のみでしたが、内容を理解し、楽しむことができました。日常生活では、発音についてよく注意されて、一緒に練習しました。毎日用意してくれる食事も本当においしかったです。

また、私は日本で空手を習っており、フランスでも現地の人と空手を通じて交流したいと思い、事前にいくつかの道場へメールで問合せをしていました。ステイ先からすぐ近くの道場が見つかり、毎週2回通いました。語学学校とは違うコミュニティに参加できて、大変よい経験となりました。後日、リヨンの空手の先生が日本へ旅行に来た時には、東京で再会することもできました。
 フランスでの限られた期間を楽しむために、私は現地へ行く前にいくつかの目標を設定しました。①現地の空手の道場に通うこと、②友達を作ること、③行きつけのカフェを見つけること、④週末は必ずどこかへ出かけること。そして、これらの目標はすべて達成することできました。現地で過ごすうちに、新たに小さな目標も出てきて、「来週は自転車を借りてみよう」とか、「コインランドリーを利用してみよう」、など、自分にとってのちょっとした小さな挑戦をして、リヨンでの日常を楽しむように心がけました。

リヨンに到着した当初、2日ほどホテルで滞在していたのですが、誰一人私を知る人もなく、ものすごい孤独感とホームシックに陥りました。それでもマルシェにご飯を買いに行くときは、フランス語でお勧めのものを聞くようにしたり、タクシーに乗った時は、運転手さんに「日本から来ました」と話しをしたり、できるだけ積極的にフランス語で会話をするようにしたので、孤独ではありましたが、誰とも話さないという状況にはなりませんでした。そして、ホームステイと学校が始まると、私のホームシックはすぐに解消されました。

今回の留学をきっかけに、「もっと上達したい!」というモチベーションがこれまで以上に高まりました。また短期留学に行きたいと思っています。もちろん現地の空手の道場にも通うつもりです。

4週間のプログラムを終えたあとは、レンタカーを借りて夫と一緒にリヨンから南仏まで、車で旅をしました。城壁の街カルカソンヌやフランスの美しい村の一つであるサンシルラポピーなど憧れていた場所にも訪れることができて、私にとっては夢のような旅行となりました。

日本への帰国の日、パリのシャルルドゴール空港で、期せずして「いつかフランスでストリートピアノを弾いてみたい!」という小さな夢も叶いました。私はピアノは50歳すぎてから始めましたので、ほぼ初心者です。

これまでは遠い夢だと思っていたことも、小さな行動の積み重ねによって実現することができました。フランス語を通じて、多く人との出会いがあり、私の世界が広がりました。たとえば80歳までは、あと30年もありますので、今から30年勉強を続けていけばどれだけ上達できるだろう、どれだけスムーズに話せるようになっているだろう、とわくわくしています。私にとっての小さな冒険と挑戦はまだまだ続きます。フランスとフランス語は私にその可能性を与えてくれます。